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要約「サイトスピードと幸福の心理学」
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- 代表取締役 宮永邦彦
- @miyanaga
画像軽量化とWebフロントエンドのスピード改善の専門家です。Web系のIT技術大好き。
このサイトではスピード改善のリアルや、日々の技術的な気づきを共有します。
以前こちらの記事「サイトスピードと幸福の心理学」の要約をXに載せた。サイトスピードに関する心理学的エピソード集で大変面白かった。
「サイトの速度と人間の幸福の心理学」
— アイデアマンズ@フロントエンドWeb高速化 (@ideamans) February 1, 2024
The psychology of site speed and human happinesshttps://t.co/UfaSTXQIOg
この記事のトピックをまとめてみました。
1.
当たり前だが人間は待ち時間が嫌い。待たされるくらいなら歩かされた方がまし、というくらい。…
引用について
以下、引用は私がXに記載した要約からで、原文ではないのでご注意を。
人間は待たされるのを極端に嫌う
当たり前だが人間は待ち時間が嫌い。待たされるくらいなら歩かされた方がまし、というくらい。 ヒューストン空港では着陸ゲートを遠くして、手荷物受け取りまで無駄に歩かせることで、荷物の到着が遅いという苦情がゼロに。
この空港でのエピソードは以前も読んだことがあった。
乗客がみんな着陸後の荷物の受け取りが遅いと言うので、遠くに着陸して乗客の方を長距離歩かせるようにしたら苦情がなくなった、という人を食った冗談のような話だ。
UIの改悪がUXを改善した興味深いエピソードだったのでよく覚えていたが、今ふたたび人間は待たされることに敏感であることを肝に銘じた。
待ち時間のとらえ方は非合理
平均的なユーザーは読み込み時間を実際より15%も遅く評価し、後で思い返すと35%も遅く評価する。 痛みの体験は、時間の長さより最後の痛みの強さを強く覚える。 つまり人間の感覚は非合理である。
待ち時間はとても主観的なものだ。例えば同じ1秒を遅いと感じる人も、そうでない人もいる。同じ人であっても、記憶そのものが曖昧だという話だ。
なので、サイトスピードとユーザー行動の法則性は、最後まで捉え所がないのかもしれない。
しかしサイトスピード改善が無駄になることは決してない。いつでも遅さには不満が生まれるのだから。
待ち時間は気をそらす
2秒を超える待ち時間で集中力を失い、生産性を損なう。 これは1968年の実験結果。テクノロジーと無関係の人間の特性。 ヤコブニールセンによると、0.1秒なら瞬時に反応していると感じ、1秒なら思考はスムーズに進むが、注意力の持続は高々10秒が限度。 短期記憶はすぐに減衰し、待たされることには無力感と苛立ちを感じる。 視覚的感覚記憶は100ms。短期記憶は10〜15秒。
サイトスピードが遅いために離脱する人は多くいる。私は以前、はそのような人たちは「イライラしたから」と考えていたが、それだけではないことに想像が及んだ。
イライラするまではいかないが、集中力が削がれてしまうのだ。
ゲームやテストではないから集中力という表現に違和感があるならば、気がそれてしまったと言ってもいいだろう。負の感情まではないが、何をしていたか忘れたり、他のことをしたくなってしまう。
待ち時間は集中力を前借りする
順序よく滞りない活動(フロー)を定期的に行う人はそうでない人より幸福度が高い。 しかしコンピューターは遅延し、中断(再起動など)することがある。 人間は作業の中断に適応できるが、それは心理的コストを要する。 中断は累積的にモチベーションを下げ、作業の再開や新しい作業への意欲を奪う。
仮に集中力を保てたとしても、中断された作業を再開するのは心理的な負荷が高い。
そこにユーザー情報の入力のような面倒なステップがきたりすると「今日はもういいかな…」と諦めてしまう。
ユーザーを待たせると、その場で離脱行動に繋がらなくとも、コンバージョンまで必要な集中力を前借りしてしまうということだ。
遅いサイトの利用にはより集中力を要する
ECサイトのストレス計測実験(2011年でおそらくPCサイト)では、2Mbps?(原文では2MB)のネット環境では5Mbpsに比べ最大50%も操作に集中力を必要とした。 検索、チェックアウト、個人情報の入力に特に大きなストレスを示した。
ECサイトの利用は、業界人には朝飯前かもしれないが、普通に考えるとかなりハードルが高い。
サイトの操作に加え、購入が正しい判断か?自分は損をしないか?商品は必要に間に合うか?壊れてたら?イメージと違ったらどうしようか?…いろいろなことを心配している。つまりストレスに抗う集中力を必要とする行為だ。
そんな最中に「サイトが遅い」という違和感も現れたら、よほどの動機がないとコンバージョンまで集中力が保たないだろう。
遅いサイトは「ダサい」とまで思われる
モバイルECサイトの実験でも500msの遅延を発生させた処置群は最大26%のフラストレーションを計測。 実験後、サイトの印象を尋ねると、「遅い」が最多意見。さらに「退屈」「ダサい」「紛らわしい」「イライラする」「操作しにくい」など、感覚的な悪印象まで誘発した。 なお、遅くしない対象群では「使いやすい」が最多意見。 サイトが遅いとブランド価値も毀損する。
普通の体験をするユーザー群と、わざと表示を0.5秒遅らせたユーザー群による禁断のA/Bテストだ。
上記で「遅さは主観的」と触れたが、遅いサイトには「ダサい」という印象まで生まれるのだそうだ。
デザイナーにはとんだとばっちりであるが、大変興味深い。自分が受けた「待たされるストレス」を心理的に補償するのだろうか。
離脱しても再訪してくれるのであればまだ可能性もあるが、そこでLTVを喪失すると補填し難い。わずか0.5秒が大変な明暗を分ける。