マネーフォワードケッサイは、いわゆる決済代行サービスである。請求書の発行から入金の確認まで、売掛金を回収する手間を引き受けてくれる。
取引先の与信審査もしてくれるし、ファクタリングのようなサービスもある。弊社は幸いお客様に恵まれているので、そちらは使ったことがない。
営業事務のいない会社には心強い味方で、弊社でもありがたく使わせてもらっている。正直なところ、AIエージェントが出てきてからは、APIの使える銀行に乗り換えて内製する道も考えている。とはいえ今のところは、こちらのお世話になっている。
マネーフォワードケッサイにもAPIが揃っているので、CLIでラップしてAIエージェントに作業させている。それが mfk-cli(コマンド名は mfk)である。MITライセンスのオープンソースとして公開している。
請求書のPDFを期間でまとめて取る
いちばんよく頼むのは、経理に情報を渡すための請求書PDFの書き出しである。以前は管理画面から書き出していたが、マネーフォワードケッサイの管理画面では1枚ずつしか書き出せず、これが面倒くさかった。
いまは「8月に発行した請求書のPDFを全部ダウンロードしておいて」と頼んでいる。AIはまず対象の請求を一覧する。
# 現行(インボイス制度対応)の請求を全件取る
mfk billings qualified --page-all
# 特定の取引先の請求だけ見る
mfk billings qualified --customer-id cust_xxx --page-all一覧から対象を選び、1件ずつPDFのダウンロード用URLを発行してダウンロードしていく。請求書のIDは、請求の invoice_ids に入っている。
# 請求書PDFのダウンロード用URLを発行して保存する
curl -sSo invoice.pdf "$(mfk billings download-signed-url <billing_id> <invoice_id> | jq -r '.items[0].signed_url')"この繰り返しを自分で手作業するのは面倒だが、AIに頼めば済む。
なおマネーフォワードケッサイでは、インボイス制度が始まった2023年10月を境に、請求を取るエンドポイントが2つに分かれている。現行の請求は billings qualified で、旧方式の請求は billings list で取る。この使い分けはAI向けのリファレンスに書いてある。
CLIで扱えるもの
マネーフォワードケッサイ API v2 で操作できるものは、ひととおりサブコマンドにしてある。書式は mfk <リソース> <メソッド> である。
| コマンド | 対象 |
|---|---|
customers | 取引先 |
destinations | 請求先 |
transactions | 取引 |
billings | 請求 |
issues | 発行済みの請求情報 |
customer-examinations / credit-facilities | 与信枠の審査と与信枠 |
payouts / payout-transactions / payout-refunds | 振込・振込明細・返金 |
出力はJSON・表・CSVを選べる。書き込み系は --dry-run で送る前に中身を確かめられる。
# 取引先を表で見る
mfk customers list --format table
# 取引の全件をjqで絞る
mfk transactions list --page-all | jq '.items[] | select(.status == "passed")'
# 取引先の登録を送らずに確かめる
mfk customers create --dry-run --name "テスト株式会社" --number "CUST-001"APIがあっても使えていなかった
マネーフォワードケッサイのAPIも、以前から充実していた。ただ、手でプログラムを書いていたころは手間がかかるので、本当に頻度の多い一部の操作にしか使ってこなかった。
AIエージェントがあれば話は別である。操作をひととおりCLIにしておけば、何をどう組み合わせるかはAIに任せられる。
見積書や請求書の作成はMisocaで行っていて、そちらもCLIにしてある。
お金が絡む業務は一度は目を通す
マネーフォワードケッサイで扱うのは、どれもお金が絡む業務である。
毎月の請求事務はほぼ自動で回っているが、AIに丸投げはしていない。AIに請求データのCSVを用意してもらい、それを目で確かめてから、アップロードする作業をしている。
完全には自動化しきれていないし、当面は目を通すつもりだ。AIは十分にミスのない作業をしてくれる。それでも大きな金額が絡む業務では、どうしても一度は目視するプロセスを入れている。
AIエージェントから使うには
環境変数 MFK_API_KEY にAPIキーを入れておけば使える。サンドボックス環境も --sandbox で切り替えられる。
mfk llm を実行すると、AIエージェント向けのリファレンスがまとめて出てくる。全コマンドと、請求の取り方の使い分けが入っている。
mfk llm # Markdown
mfk llm --format json # 章ごとのJSON配列Claude Codeならプラグインとして入れられる。
/plugin marketplace add ideamans/claude-public-plugins
/plugin install mfk-cli@ideamans-plugins入れておけば、mfk が手元になくても「マネーフォワードケッサイを操作したいのでCLIを入れて」と頼むだけで導入まで進む。この仕組みは go-llm-cli-kit の記事 に書いた。
まとめ
マネーフォワードケッサイは、営業事務のいない会社には心強い決済代行サービスである
管理画面では1枚ずつしか書き出せない請求書PDFを、期間でまとめてAIにダウンロードさせている
マネーフォワードケッサイ API v2 の操作をひととおりCLIにし、組み合わせはAIに任せている
お金が絡む業務は、AIが用意したCSVを目で確かめてからアップロードしている